池松武之亮記念クリニックの由来

 当院の名称として掲げた池松武之亮博士(1912年~1990年没)は、“いびきは健康のシンボルではない、放置してはならない、いびきは病気の一つと捉えるべきである”と、医学界に警鐘を鳴らし、生涯をいびき研究と治療に身を注いだ医師です。いびき研究のきっかけとなったのは、1952年、野田市で耳鼻科を開業する池松医師のもとに、いびきが大きいだけの理由で結婚式翌日に離婚を迫られた女性患者が訪れたことでした。当時の医学書にはいびきの文献は殆どなく、いびきが病気か否かさえ解らない状況の中、手探りで試みた治療が功を奏し、いびきが改善された女性の喜びようは大変なものでした。それを見た池松医師は、その後研究を重ねていびきの治療法の一つとなる手術(咽頭拡張術)を確立しました。

以来全国からいびきで悩む人々が博士のもとを訪れ、手術施行数は8000件以上に達します。その成果は世界に認められ、1977年、米国で開かれた国際シンポジウム世界耳鼻咽喉科学会の招請を受け発表。その後、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の病名が確立され、いびきは閉塞型睡眠時無呼吸症に必ず伴う症状であることが広く認知されるようになり、第一回世界いびき学会(パリで開催)では名誉会長に就任。以前無関心であった日本の医療者の間でも、今日ではいびきを放置すると閉塞性睡眠時無呼吸症に移行するリスクが高いとして積極的に治療に取り組む機関も増えて来ました。当院は故池松武之亮博士の遺志を継承し、いびきと睡眠時無呼吸症候群を専門として1999年開院し、現在は、さらに内科・呼吸器・循環器科・耳鼻咽喉科の視点からも睡眠呼吸障害に悩む方々のサポートを行っています。